カトリーヌ・ドヌーヴとブノワ・マジメルが共演、『愛する人に伝える言葉』

© Photo 2021 : Laurent CHAMPOUSSIN – LES FILMS DU KIOSQUE

フランスを代表する大女優カトリーヌ・ドヌーヴと、本作でセザール賞最優秀男優賞を受賞したイケメン演技派、ブノワ・マジメルが共演。
癌を宣告された主人公とその母親が、限られた時間のなかで人生を見つめ直し、「人生のデスクの整理」をしながら、死と対峙していく過程を描いた作品だ。

主人公バンジャマンは、39歳、俳優への道を諦め、今は学生に演技指導を行っている。膵臓がんを宣告され、母のクリスタルとともに、名医ドクター・エデを訪れるが、癌はステージ4に達しており、治らないと告げられる。ショックを隠せない二人にエデは「命が絶える時が道の終わりですが、それまでの道のりが大事」と生活の質を維持するための化学療法を提案し、「一緒に進みましょう」と励ます。
クリスタルは、エデの助けを借りて、息子の最期を出来る限り気丈に見守ろうと務め、また、バンジャマンが若い頃、付き合っていた女性に連絡する。彼女の妊娠を知ったクリスタルは息子の将来を思うあまり、二人の仲を裂き、生まれた男の子は父親の顔を知らないまま、異国で暮らしていたのだ・・。


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監督は、エマニュエル・ベルコ。カンヌ国際映画祭のオープニングを飾った前作『太陽のめざめ』(15)でも、カトリーヌ・ドヌーヴとブノワ・マジメルを共演させている。

この作品について話題になっているのが、ドクター・エデを演じるガブリエル・サラが、俳優ではなく癌専門医であるということ。ニューヨークのマウント・サイナイ・ウェスト病院医療部の上級指導医として化学療法病棟の医長ならびに患者サービス部門の顧問を勤める、現役の医者である。


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2016年、エマニュエル・ベルコ監督が「太陽のめざめ」のプロモーションでニューヨークに訪れた際、舞台挨拶の場にいたガブリエル・サラは映画に感銘を受け、監督に「あなたは私の仕事に興味を持つと思います」と話しかけ、メールアドレスを渡したのだという。ベルコはニューヨークを再訪し、病院でのサラの仕事ぶりを一週間にわたって密着取材。それが、この作品「愛する人に伝える言葉」が誕生するきっかけになったのだという。本作はフィクションでありながらも、サラの医療についての哲学が強く反映され、彼のセリフのほとんどは、本人の言葉を採用している。

サラが実際に病院で実施している、看護師たちの精神的負担を和らげるディスカッション・サークルを再現したシーンは、印象的である。

この秋、必見の映画だ。

10月7日(金)より、新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座 他全国公開。


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『愛する人に伝える言葉』
監督:エマニュエル・ベルコ
脚本:エマニュエル・ベルコ、マルシア・ロマノ
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ブノワ・マジメル、セシル・ド・フランス、ガブリエル・サラ
2021年/フランス映画/フランス語・英語/122分/原題:De son vivant
配給:ハーク/TMC/SDP

公式HP:https://hark3.com/aisuruhito/

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