ドキュメンタリー映画『ココ・シャネル 時代と闘った女』

今年2021年は、ココ・シャネル没後50年、そして世界で最も売れた香水「No.5」誕生100年にあたる。

第一次世界大戦後、「皆殺しの天使」と称されるほど19世紀的な価値観を葬り去り、女性を因習から解放して、女性として史上初の世界的実業家となったココ・シャネル。
ピカソ、ストラヴィンスキー、ディアギレフ、コクトーなどの芸術家、チャーチルやウィンザー公などの政治家や王侯貴族との交流、めくるめく幾多の恋を通じて得たインスピレーションと人脈を駆使し、第二次世界大戦前すでに一大モード帝国を築き上げた。
ところが、ナチスドイツによるパリの占領が解けた1944年、彼女は突如パリを脱出しスイスへ向かう。以後、齢70歳にして劇的な復活を遂げる1957年まで、10年あまりもの長きにわたり沈黙する。

シャネル自身により、また評伝や映画などで虚実ないまぜのさまざまな物語が語られてきたが、それらのほとんどは、沈黙の謎が確証を持って暴かれた2011年以前のものだ。本作は、実証を踏まえた上で、毀誉褒貶の激しい多面的で孤独な、しかし魅力的でスケールの大きいシャネルの生涯と実像に迫った最新ドキュメンタリー作品である。

監督のジャン・ロリターノにとって本作は、1950年代から2010年代までのイタリア・ファッション界を描いた「Made in Italy 1951-2014」、戦後から1960年代までのパリのオートクチュールをテーマにした「Paris Couture1945-1968」(いずれも日本未公開)に続く、3本目のドキュメンタリー作品だ。

7/23(金・祝)よりBunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー

公式HP:http://cocochanel.movie.onlyhearts.co.jp

©Slow Production, Arte France

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