デザイナー

須田志保美さん

アパレルと雑貨のデザイナーとして企業に勤めた後、2014年に独立して自分のブランド「る・むすびle musubi」を立ち上げた須田志保美さん。
和、リボン、がま口を取り入れたデザインのバッグ類を中心とした小物を日本とフランスで展示販売している。
3月には、パリ郊外ナンテールで行われる東日本大震災の追悼イベントで、「日常生活を表現する雛人形」である福よせ雛の展示と、自らの作品の展示販売のために渡仏する予定だ。

デザイナーとしてのキャリアを教えてください。

アパレル企業で婦人服と雑貨のデザイナーとして働きました。約30年間で5つの会社を渡り歩き、自分で言うのも気恥ずかしいですがヒット商品を連発してきました。でもいつも仕事に追われていて一体何をしていたのか今となってはあまり覚えていません。営業も自分で担当したこともあり、また、大手のバイヤーと一緒に商品開発をしたこともありました。

現在はフリーランスのデザイナーとして活躍されていますね。

2013年に仕事を辞め、半年ほど放浪の旅に出たり、京都のがま口職人の元で修業したりしていました。
2014年にフリーのデザイナーとして活動を開始したのですが、病気をしたこともあり、スローテンポな活動となっていました。おかげさまで今は元気になり、昨年から本格的に活動を再開しました。
地元名古屋の老舗百貨店などで2ヶ月に1度くらいのペースで展示販売会、ワークショップを開催しています。
ネット販売も行っていて、しばらくお休みしていたのですが今年の春以降に再開します。

フリーになってから作風は変化しましたか?

最初は企業でデザイナーとして働いていた時には出来なかった、自分を表現することを目指しました。何かすごいことしてやろうというような気持ちもありました。
ところが創作活動に入って軌道に乗りつつあった時に大病をしてしまい、大きく考えが変わりました。目を引くもの、受けるものではなく、自分が作りたい、持ちたいと思うものを作ろう、という具合に。

また、洋服の勉強は長年してきましたが日本人でありながら着物の文化についてほとんど知識がなかったことに気がつき、着物の正しい文化や縫い方も勉強しました。着物や帯の古布にはパワーを感じる物が多いです。現代布を使う時もパワーを感じる生地を使うようにしています。

私の作品は和のテイストはありますが、洋服に気軽に合わせられるものです。使ってくださる方が見た目を気に入って、さらに使いやすさを感じていただけるようにデザインしています。

フランスでも展示会をされていますが、フランスに住んでいらっしゃったこともあるのですよね?

フランスで初めて出展したのは、2014年6月、パリ郊外サングラシャン市で開かれたイベントです。それに合わせて作品を制作しました。

初めてフランスに行ったのは20代の初めです。勤めていた会社が自分に合わず、一年で退職し、気分転換にヨーロッパの旅に出た時フランスにも立ち寄って、パリが一番好きだと感じて。
その後仕事で何度もパリを訪れることになりました。
それから10年ほどアパレルのデザイナーを務めた後、30代前半で退職して語学とモードの勉強のためにフランスに一年ほど住んでいました。

サングラシャンの展示販売は、それまでに日本でも自分の作品を販売したことはなかったので、それが私にとって展示会デビューでした。
その後、パリで開かれるイベントに委託販売で何度か参加しています。

福よせ雛プロジェクトとの出会い、この活動を手伝おうと思ったきっかけは何でしょうか?

初めは福よせ雛プロジェクトがどういうものかも知らず「福よせ雛」を作る講習会に参加しました。そしてそのコンセプトに感動しました。
その頃計画していた自分のフランスでの展示会に「福よせ雛」を飾っていいかと問合せをしたのがきっかけで、パリ近郊のナンテールで開催されるチャリティー音楽会に「福よせ雛」を送ることになりました。
現在は福よせ雛プロジェクト欧州支部担当の肩書きまでいただいています。
具体的な作業は欧州の福よせ雛のイベントに必要なお雛様を送り出すこと。元のお雛様のままでは福よせ雛にはならないので、お雛様の役割に合わせて変身させます。

3月にナンテールで行われるイベントはどのようなものですか?

2011年の東日本大震災の追悼イベントです。
震災が起こってもう8年にもなりますが解決していないことが山積みであるのに日本では少しずつ風化しつつありますよね。
今も変わらない現状、それは決して他人事ではないことをナンテールのみなさんにもお伝えするイベントです。お雛様を使って表現することによって東日本大震災についてより興味を持ってもらえるのではないかと。
お雛様は平安時代の装束を着ていますし、基本的には座っている状態です。そのお雛様ができる表現をするからこそ面白くて、心に残る表現もできます。
リアルな現状にどこかホッとさせる、クスッと笑ってしまうような場面もそこに織り込みたいと思っています。

https://www.facebook.com/LemusubiShihomi/?modal=admin_todo_tour

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